エレベーター・トイレ・玄関手前ーー娘のてんかん発作の予兆について2

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はじめに

こんにちは。13歳のてんかんの娘を持つ母親、イーサンです。娘の診断名は「レノックス・ガストー症候群」です。

前回、「家の中でふと立ち上がってフラフラ歩き、しばらくしてドテンと倒れる」という脱力発作の様子を書きましたが、改めて振り返ると「いつ・どんな状況で起きやすいのか」が第三者には伝わりにくい内容だったな〜と感じています。

「あ、来るかもしれない」――娘のてんかん発作の予兆について
こんにちは、イーサンです。うちの娘は現在12歳。診断名は「全般てんかん」、そしてレノックス・ガストー症候群と呼ばれるタイプの、難治性てんかんです。てんかんのお薬はすでに3剤以上試していますが、どれも決定打にはならず、発作はなかなか減りません…

今回は、これまでの記録を振り返りながら、「エレベーターに乗った時」「トイレに入った時」「学校から帰ってきて、玄関まであと数メートル」という、具体的にタイミングが分かりやすい3つの場面について書こうと思います。

さらに、実際に発作が起きた時の私の対応、「天候(晴れ/曇り・雨)との関係」、そして最近調べて分かった「低気圧と脳脊髄液のメカニズム」についても考察してみたいと思います。

あくまでうちの娘の事例ですが、同じように脱力発作のお子さんを持つご家族の参考になれば幸いです。


脱力発作が起きやすい3つの瞬間

1. エレベーターに乗った時

毎回ではありませんが、エレベーターのドアが閉まり、動き始めた瞬間に力が抜けることがあります。

  • 扉が閉まって密室になる瞬間の気圧変化が影響している可能性?
  • エレベーターの上昇・下降による気圧変化?(低層階・高層階など特に関係はありません)
  • 「閉じ込められる」という心理的緊張→自律神経の興奮か?
  • ※光刺激(蛍光灯の点滅など)は、今のところうちの娘は関係していないように思います

対応の工夫:

  • エレベーター内では親が背後から支える
  • 「エレベーター乗るよ」と事前に声をかけて、心の準備をさせる
  • 可能なら階段を使う(ただし、発作が起きた時の転落リスクを考慮、娘には手すりを持ってもらいます)
  • 娘はできませんが、高層階のエレベーターでは、耳抜きを意識する(つばを飲み込む、あくびをする)

2. トイレに入った時

トイレのドアを開けて入った瞬間、または用を足している最中に脱力することがあります。

  • 換気扇による空気の流れや扉の開閉で、微細な気圧変化が生じる可能性?
  • 完全な密室状態では、外の気圧変化がダイレクトに伝わりやすい?
  • 「逃げ出せない」という心理的ストレス→自律神経が興奮するのかも?
  • 特に朝一のトイレは発作が起きやすいので、最も注意を払っています

対応の工夫:

  • 家庭ではドアを少し開けたままにする(完全な密室にしない)
  • 換気扇を弱める、または止める
  • 学校には「トイレは1人で行かせず、先生の付き添い」をお願いしている
  • 自宅のトイレには滑り止めマットを敷き、転倒時の衝撃を和らげる

3. 学校から帰ってきて、玄関まであと数メートル

こちらは、少し特殊なケースかもしれません。

歩く際はいつも必ず私(母親)か旦那さん、学校の先生が横について、脇を持って歩いています。発作が起きた時に転倒しないようにするためです。

その状態で、学校から帰ってきた際、家に向かって歩き、玄関まであと数メートルというところで、ガクッと脱力発作が起きることが20%くらいの頻度であります。

  • 「あと少しで家だ〜」という安心感で、意識が緩むのでしょうかね?
  • 緊張(学校での疲れ)がほぐれた瞬間なのかな?
  • 玄関で座る動作や、靴を脱ぐ動作を予測して、体が準備してしまうのかな?

対応の工夫:

  • 「あと数メートルで脱力するかも」と予測して、常に支える準備をしておく
  • 自宅のドアに近づいてきたら「ゆっくりでいいよ」と声をかける

発作が起きた時、私はこう対応しています

ここまでは「いつ・どこで」発作が起きやすいかについて書きましたが、実際に発作が起きた時、私がどう対応しているかもお伝えします。

予兆を見逃さない

娘の場合、横を向いて目が外側端っこな方向を向いてきたら、脱力発作の予兆です。この瞬間を逃さず、即座に支える準備をします。

基本対応:その場で支えて耐える

脱力が来たら、その場で立ったままで支えて、発作が収まるのを待ちます。

  • 膝の力も抜けるので、ある意味棒立ちの状況で耐えることになります(30秒〜長い時で2−3分)
  • 支えきれず、その場でしゃがんでしまうことも多いです
  • 無理に動かさず、発作が収まるまで待つのが基本です

エレベーター内での対応

エレベーター内で目的階について、出なければならない時は:

  • 娘の足を引きずってでもエレベーターを出て、出た場所で発作が収まるのを待ちます
  • 体重が重くて動かせない場合は、別階層に移動するとしてもエレベーター内で発作が収まるのを待つしかないです
  • 周囲の目が気になることもありますが、親子ともに安全第一です

トイレでの発作:特に朝は注意が必要

トイレでの発作は、特に注意が必要です。

前提として:娘は自分でズボンとオムツを脱いで用を足すことができません。必ず介助しています。

立った状態での発作

トイレに入って、便座に座るまでの立った状態での脱力発作であれば、横に立っているので対応はしやすいです。

  • その場で支えて、発作が収まるのを待つ
  • 便座に座らせて、そのまま用を足させる
    ※発作後は、おしっこが出ることが多いので便座につかせる、あるいは難しい場合はオムツを履き直すことが大事です

便座に座った状態での発作:最も危険★★

問題は、便座に座った状態での脱力発作です。13歳ともなると、頭の重さに耐えきれず、便座から床に頭から落ちてしまうことがあります。

特に危険なタイミング:

  • 親が着替えのズボンを取りに行った瞬間
  • オムツを捨てに行った瞬間
  • 親が別の用事でトイレを離れた瞬間

これらのタイミングで発作が起きてしまうと、横の壁や便座の下にドテンと頭から転んで、発作が続いてしまいます。

けがのリスク

当たりどころが悪ければ、頭を打って、そのはずみで歯で唇を噛んで血が出てしまうことも多々ありました。(ごめんね。。)

  • 唇からの出血は、見た目が痛々しく、止血にも時間がかかります
  • 歯が唇に食い込むと、縫合が必要になることもありました

トイレでの対策:試行錯誤の毎日

これらの経験から、現在以下のような対策をしています。

1. 絶対に1人にしない

  • ズボンを取りに行く、オムツを捨てるなど、どんな用事でも娘を1人にしない
  • トイレから出る必要がある場合は、一旦発作が収まるまで待つ、または娘と一緒に移動する、あるいはトイレ前に寝ころばせる

2. 転倒防止の工夫

  • 便座の周りにクッションマットを敷いて衝撃を和らげる
  • 可能なら、手すりを取り付けて、つかまれるようにする

3. 介助のタイミング

  • 朝のトイレは特に発作が起きやすいので、朝一のトイレは最も注意を払う
  • 「今大丈夫?」とこまめに声をかけて、予兆がないか確認する

4. 出血時の対応

  • トイレにガーゼやティッシュを常備
  • 唇を噛んだ場合は、すぐに圧迫して止血
  • 出血がひどい場合は、すぐに病院へ

天候(晴れ/曇り・雨)との関係について

ここからは、少し考察的な内容になります。

前のブログ記事にも書きましたが、娘の発作は、曇りや雨の日、特に低気圧が近づいている日は調子が悪いことが多いです。

我が家の記録から

過去3ヶ月の発作記録と天気を見比べてみると、以下のような傾向がありました。

天気発作の頻度備考
晴れ比較的少ない朝から安定している日が多い
曇り・雨顕著に増加低気圧の日は特に朝から調子が悪い

※あくまで我が家の事例であり、個人差が大きいことは承知しています。


低気圧と頭痛・てんかんの関係:科学的なメカニズム

「雨の日は頭痛が酷くて会社に行けない」という話を、頭痛持ちの女性からよく聞きます。これは、気圧の変化が体に影響を与えるためで、近年の研究で医学的に説明できるメカニズムが明らかになっているそうです。

低気圧で頭痛が起きる4つのメカニズム

1. 内耳が気圧変化を感知する

耳の奥にある内耳(前庭器官)には、気圧の変化を感知するセンサーがあります。低気圧が近づいて気圧が下がると、このセンサーが反応します。

  • 通常の気圧:約1013 hPa
  • 台風や低気圧:950〜990 hPa(5〜60 hPaの低下)
  • この変化を内耳が「体のバランスが崩れた」と感知する

2. 三叉神経が興奮する

内耳で感知された気圧変化の信号は、三叉神経に伝わります。三叉神経は、顔・頭部・脳を包む膜(硬膜)の感覚を司る神経で、ここが興奮すると頭痛の信号が発生します。

3. 脳の血管が拡張し、炎症が起きる

興奮した三叉神経からは、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)という血管を拡張させる物質が放出されます。拡張した血管が周囲の神経をさらに刺激し、「ズキズキする頭痛」として感じられます。

4. 自律神経の乱れが加わる

気圧の変化は、自律神経(交感神経・副交感神経)のバランスも乱します。血管の「収縮→拡張」のリバウンドが頭痛を誘発します。

そして、脳脊髄液との関係

ここが今回のポイントです。

脳の周りには「脳脊髄液(のうせきずいえき)」という液体があり、脳をクッションのように守っています。

  • 量:成人で約150ml
  • 役割:脳への衝撃を和らげる、脳を重力から守って浮遊させる、老廃物の排出、圧力の調整

低気圧になると、以下のことが起きます:

  1. 外の気圧が下がる→頭蓋骨の内外で圧力差が生じる
  2. 脳脊髄液の圧力が相対的に高くなる
  3. 脳脊髄液の循環が悪くなり、脳への圧力変化が生じる
  4. これが血管や神経に影響し、頭痛や体調不良のトリガーになる

ある研究では、「気圧が低下すると、脳脊髄液の循環が悪くなり、脳への圧力変化が生じ、これが偏頭痛のトリガーとなる可能性がある」と報告されているそうです。


てんかんとの関係は?

頭痛については上記のメカニズムが比較的明確ですが、てんかんと気圧の関係については、医学的に完全に証明されているわけではありません。患者数が少ないからでしょうか。

ただし、以下の可能性が指摘されています:

  • 気圧変化→脳脊髄液の循環変化→脳への圧力変化
  • 脳内の圧力変化が、神経細胞の興奮性に影響
  • これが痙攣(けいれん)の閾値(発作が起きやすくなる基準)を下げる可能性
  • 実際、気象変化で発作が増える患者さんは確かにいる

あくまでうちの娘のケースですが、医学的に解明されてくるといいですね。


密室空間と気圧変化:エレベーター・トイレで発作が起きやすい理由

エレベーターやトイレで脱力発作が起きやすい理由について、さらに考察を深めてみました。

気圧変化の影響

エレベーターは短時間で上下するため、わずかながら気圧変化が生じます。高層ビルでは特に顕著で、耳が「詰まる」感覚を覚える方もいるようです。

この気圧変化を内耳が感知し、自律神経が乱れることで、発作が起きやすくなる可能性があります。

  • 通常の気圧:約1013 hPa
  • エレベーターでの気圧変化:数 hPa程度(高層階で顕著)
  • この変化を内耳が「体のバランスが崩れた」と感知する

トイレでも、換気扇による空気の流れや扉の開閉で、微細な気圧変化が生じる可能性があります。特に完全な密室状態では、外の気圧変化がダイレクトに伝わりやすいのかもしれません。

密室空間の影響

エレベーターやトイレは、扉を閉めると完全な密室になります。

  • 「逃げ出せない」という心理的ストレス→自律神経が興奮
  • 外の音・光が遮断される→感覚入力のバランスが崩れる→脳が過敏になる
  • 換気が不十分だと、二酸化炭素濃度の上昇や酸素濃度の低下が起きる可能性

光刺激は関係ない?

光感受性てんかん(点滅する光に反応して発作が起きるタイプ)は、全てんかん患者の約5%と言われています。

娘の場合、蛍光灯の点滅や鏡での光の反射など、光刺激は関係していないように思います。

3つの要因が重なると…

エレベーターやトイレでは、以下の要因が複合的に作用している可能性があります。

要因エレベータートイレ影響
気圧変化◎(上下移動で顕著)△(換気扇・扉の開閉)内耳→自律神経乱れ
密室空間◎(完全な閉鎖空間)◎(扉を閉める)心理的ストレス・感覚遮断
光刺激△(蛍光灯)△(蛍光灯・鏡)※娘の場合は関係なさそう

これらが重なって、発作の誘発リスクを高めているのかもしれません。

対策として

  • エレベーター:
    • 手すりを持って、体を安定させる
    • 可能なら階段を使う(ただし、発作が起きた時の転落リスクを考慮)
    • 高層階のエレベーターでは、耳抜きを意識する(つばを飲み込む、あくびをする)
  • トイレ:
    • 家族が近くにいる状態で使用させる
    • ドアを少し開けたままにする(完全な密室にしない)
    • 換気扇を弱める、または止める
  • 心理的サポート:
    • 「大丈夫、すぐ開くよ」と事前に声をかけて安心させる
    • 密室が怖い場合は、一緒に待つ

環境要因を意識するだけで、発作の予測や対策が立てやすくなるかと思います。


まとめ:これからも記録を続けます

今回は、脱力発作が起きやすい3つの瞬間と、実際の対応、天候・脳脊髄液との関係について書きました。

  • エレベーター、トイレ、玄関手前…「タイミング」を意識すると、対策が立てやすい
  • 密室空間の気圧変化が、発作の誘発に関係している可能性(内耳→自律神経の乱れ)
  • 光刺激は関係なさそう(光感受性てんかんは約5%)
  • 曇り・雨の日は発作が増える傾向がある(我が家の事例)
  • 発作日記に「天気」や「場所」「状況」を書き込むと、パターンが見えてくる
  • 「玄関まであと数メートルで脱力するかも」と予測して、常に支える準備をしておく
  • 低気圧→脳脊髄液の循環変化→脳への圧力変化→神経細胞の興奮性に影響?(可能性)
  • トイレでは「絶対に1人にしない」を徹底し、転倒防止の工夫を続ける

これからも、娘の様子を丁寧に観察しながら、同じ境遇のご家族、お世話いただいている学校の先生等に役立つ情報を発信していけたらと思います。

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