脳梁離断術から8年、現状と向き合う

こんにちは、ブログ初心者のイーサンです。

現在11歳になる娘の小児てんかんと向き合う日々を綴っているブログです。

今回は、8年前の3歳11ヶ月の時に受けた「脳梁離断術」とその後の経過についてお話ししたいと思います。

小児てんかんの子どもさんを持つ親御さん、携わるご家族、学校の先生方のお役に立てればと思います。

本記事は、科学的根拠には基づいておらず、1症例の経験ですのであらかじめご了承ください。本術式を推奨・否定するものではございません。

脳梁離断術とは

脳梁離断術は、左右の大脳半球を連絡する脳梁を切り離すことで、てんかん波の広がりを抑える手術です。

この手術は、発作の消失を目的とする根治手術ではなく、主に転倒といった症状を和らげるための緩和外科手術に位置づけられています。

特に「脱力発作」や「強直発作」など、「転倒」を伴う発作に対して有効とされています。

手術によって約70%の患者さんで発作頻度が50%以下に減少し、まれに発作が完全に消失することもあるそうです。

手術は全脳梁離断や前半2/3の離断が選択されることがあり、特に10歳以上の場合は前半2/3離断が行われることが一般的とのことです。

脳梁離断術:頭部MRIやPET、SPECTでも局在性の異常が見つからないが難治で発達や日常生活を妨げるか転倒する危険な発作(ウエスト症候群やレンノックス・ガストー症候群など)に対し、左右の大脳半球を結合している脳梁を取り除く方法で、発作波が一気に脳全体に広がることを防ぎます。発作焦点が決められない場合に発作焦点を明らかにするために行う場合もあります。

<引用>一般社団法人日本小児神経学会HPhttps://www.childneuro.jp/general/6470/

娘の場合、脳梁を全て取り除く(執刀いただいた先生によると、実際の手術では「吸い取った」という表現が近いそうです。)全脳梁離断でした。

私も医療関係者ではないので、一般の方であればゾッとするかもしれませんが、もちろん頭蓋骨を開けます。全身麻酔下での手術です。開頭する部位は前頭部と呼ばれる、女の子がカチューシャをする横ライン一線の頭の皮を切って、頭蓋骨を小さく開けて脳梁にアプローチいただくようです。

脳の手術と聞いて、坊主頭にすることを夫婦で覚悟しておりましたが、カチューシャをする横ラインあたり、縦幅1センチ程、横幅20センチ程だけの髪を剃って、メスを入れる部分だけを確保して手術をしていただきました。

実際に頭皮を切って、閉じた部分は8年経った今でも髪の毛は生えてこないのですが、周りの髪の毛でさほど気にならないです。

また、実際に開頭した頭蓋骨の上に、何やら医療用のプレートを入れて頭皮を閉じていただいており、そのプレートは8年経った今でも「まだあるな〜」という程度の感じですが、知らない人にとってはさほど気にはなりません。

てんかん診断から手術決断まで

2016年、娘が2歳10ヶ月の時、点頭てんかん(West(ウエスト)症候群)と診断されました。

そこから、2−4ヶ月で副腎皮質刺激ホルモンを筋肉注射で投与するACTH(アクス)療法を入院して実施するも、発作抑制は3ヶ月程でしたでしょうか。元の発作頻度に逆戻り。その後、約1年ほどの抗てんかん薬、合計3剤まで増やして薬物療法を続けましたが、発作はなかなかコントロールできず、発語等の発達は見られませんでした。

主治医の先生から脳梁離断術のご提案を受けたのは、娘が3歳9ヶ月頃の時でした。この手術が娘にどのような影響を与えるのか、多くの不安を抱えながら決断しました。

診断後1年程度で、4歳になる前での決断でしたが、娘の発作頻度、脳の発達など、これからの長い人生を考えると、「手術は最後の手段にあらず」、「2剤2年か2剤1年」、「娘の人生は一度きり」といろいろな本やサイトを見て、主治医の先生の後押し、旦那さんと相談して、娘の手術を決めました。

入院〜手術当日〜退院 – 2017年6月

関西の大学病院で手術をしていただきました。

入院は手術日の2日前、当時3歳11ヶ月の娘は言葉を話せず、不安そうな表情を見せていました。私たち夫婦は「すぐ戻るからね」と声をかけ、手術に臨んでいきました。手術は約6時間くらいだったでしょうか。

遠方から旦那さんのお義父さんもお見舞いに来ていただきました。術後で数日経っていたかと思いますが、まだ目もうつろで、笑顔も無くだらーんとした娘を見て、お義父さんはどう思われたでしょうか。心を痛められたかもしれません。孫娘といいますか、ご自身の息子(旦那)と私を元気づけに来ていただいたのだと思います。

入院期間は13日間でした。月曜日に入院して、翌週の土曜日に無事退院しました。

術後の現実

術後、少しずつ笑顔も見せるようになり、体も動かせるようになり、全く発作が起きなくなりました。

しかしながら、発作が完全に無くなっていたのは、最初3ヶ月程でしたでしょうか。劇的な効果!と安心できていたのは、ACTH療法後の効果期間と同じくらいの印象だったと記憶しています。

少しずつ、日常でちらほらと軽めですが、徐々に強直発作が現れるようになってきました。

あくまで脳梁離断術は緩和的手術の一つということです。

発作自体は、右手右足だけの強直発作、逆に左側だけといった、脳梁離断を行ったことによる片側だけの発作という影響はあるようです。

発作の頻度や強さには大きな変化はなく、目が離せない状況です。

発語もできないままです。

11歳になった今も、自身で排泄することは難しく、おむつが必要な状態です。

変わらぬ日常との向き合い方

期待していた結果が得られなかったことは残念ですが、娘の日々は変わらず続いています。

日々のケアや通院、リハビリは続いており、小さな変化も見られます。

言葉はなくても、娘なりの方法で気持ちを伝えてくれることがあります。

最後に

同じような状況にある親御さんへ。

この脳梁離断術によって、必ずしも望んだ結果が得られるとは限りません。しかし、娘にとってしてあげられることを選択してあげたかった。今はそんな思いで過ごしております。

周りの家族、学校、病院の先生方にサポートをいただきながらそれでも前を向いて歩み続けることは可能です。子どもたちは私たちに多くのことを教えてくれます。

この経験を通じて得た知識や思いを共有し、少しでも助け合えればと思っています。これからも娘本人や兄弟たちと共に、一日一日を大切に過ごしていきたいと思います。

読んでいただいた方の、何かのお役に立てればと考えております。

次回は娘のケトン療法について書いてみたいと思います。

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